本記事では中振袖について、特徴や着用シーン、マナーなどを詳しく解説します。また、中振袖の選び方のポイントや年齢制限、レンタルや購入の相場についてもまとめました。これから中振袖を着用する機会のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
中振袖とは?
中振袖は、成人式で着用される振袖の一種で、袖丈が約100cmのものを指します。一般的に「振袖」というと、中振袖のことを指す場合が多いでしょう。
振袖は袖の長さによって「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類に分けられるのが特徴。袖が長いほど格が高いとされ、「大振袖>中振袖>小振袖」の順で格付けされています。
名称 | 着られる人 | 着用シーン |
---|---|---|
大振袖 | 未婚女性のみ ※主に10-20代 | 花嫁衣裳 |
中振袖 | 成人式、結婚式の参列 | |
小振袖 | 外出時、卒業式で袴に合わせて着用 |
中振袖は成人式や結婚式のゲストとして参列する際など、特別なハレの日に着用されることの多い振袖です。大振袖に比べて動きやすさがありながら華やかさも兼ね備えているため、卒業式やパーティなどのシーンでも着用されます。
中振袖の代表的な着用シーン
中振袖の代表的な着用シーンは以下の通りです。
- 成人色
- 卒業式
- 結婚式(参列者側)
- パーティ
成人式
成人式は、最もポピュラーな中振袖の着用シーン。新成人としての節目を迎えるこのハレの日に、華やかな中振袖はぴったりです。
成人式で着用する中振袖は色柄も豊富で、花や蝶があしらわれた古典柄やモダンなハート、星柄などを取り入れたデザインなど、さまざまな種類があります。
卒業式
卒業式でも中振袖は定番の装いとなっています。特に大学や専門学校の卒業式では、袴と合わせて中振袖を着用するスタイルが一般的。
振袖は未婚女性の第一礼装とされるため、卒業式のようなフォーマルな式典にもぴったりです。
パーティー
フォーマルな式典や華やかなパーティーにも振袖はぴったり。小振袖の方が動きやすく一般的ですが、「中振袖なら持っている」「格式高いパーティである」といった場合は中振袖を着用して全く問題ありません。
パーティや会場の雰囲気にもよりますが、成人式用に購入した振袖も着用できるでしょう。
結婚式(参列者側)
結婚式のゲストとして着用する際にも中振袖を着ることが可能です。花嫁が振袖を着る場合は「大振袖」となるため、ゲストはそれよりも格下の「中振袖」を着用します。
ただし上記3つのケースとは異なり細かいマナーに考慮する必要があります。詳しくは次の章で解説するので、参考にしてみてください。
中振袖は結婚式で着ても大丈夫?
中振袖を結婚式で着ることは全く問題ありません。
ただし、結婚式のゲストとして振袖を着用する場合、自分自身のハレの日ではなく、主役はあくまで花嫁。そのため、着用時のマナーにはより注意する必要があります。
具体的には、以下のポイントを意識してみてください。
- 花嫁が大振袖を着用するので、一つ格下の中振袖を選べばOK
- アクセサリーや髪型は控えめに、品のよいアクセサリーでお祝いの気持ちを示す
- 帯はお太鼓結びや文庫結びなど、シンプルで落ち着いた結び方が良い
中振袖は誰でも着れるの?年齢制限は?
中振袖を着られる年齢について疑問を持っている方もいるかもしれません。ここでは、中振袖の年齢制限に関する考え方のポイントを解説します。
- 未婚女性であれば、厳密な年齢制限はない
- 30代以上の女性が着用することは稀
- 離婚歴があっても着用するのは問題ない
それぞれ見ていきましょう。
未婚女性であれば、厳密な年齢制限はない
振袖は未婚女性の第一礼装です。そのため未婚女性である限り、「着用できるのは何歳まで」といった厳密な年齢制限は設けられていません。
既婚になると、「黒留袖」または「五つ紋の色留袖」が第一礼装となり、振袖を着る機会はなくなります。
30代以上の女性が着用することは稀
振袖の着用に年齢制限はないものの、世間一般的な考え方や周りからのイメージを考慮して、30代以降になると未婚女性でも着用する方は少ないのが実情です。
また、振袖のデザインは主に20代前半の若い層に向けて作られているものが多く、30代以上の方には少しアンバランスに感じられることもあります。
30代以上の方が礼装を着用する際は、未婚・既婚を問わず着用できる訪問着や色留袖がおすすめです。
離婚歴があっても着用するのは問題ない
離婚歴があるから振袖を着られない、といったルールも特にありません。
ただし、結婚歴を知っている人が多い場所では、周囲に気を使わせてしまったり、自分自身が居心地の悪さを感じたりする可能性があります。
振袖にこだわりがなければ、留袖や訪問着などの他の和装スタイルを選ぶのも一つです。
中振袖をレンタル/購入する際の相場
成人式で着る中振袖をレンタルする場合の相場は20万円〜30万円、購入する場合の相場は30万円〜50万円になります。
新品の中振袖を自分のサイズに合わせて仕立ててもらえる「オーダーレンタル」の場合、仕立て代を含めて30万円~50万円程度が相場。
帯や長襦袢(ながじゅばん)に加え、バッグや草履などの和装小物のレンタルや、前撮り、当日の着付けといったセット内容によっても費用は大きく変化します。着たい振袖と予算のバランスを考えながら、自分に合った振袖を選びましょう。
以下では、振袖の着用にかかる各種値段の相場をまとめています。
内訳 | レンタル料金 | 購入料金 |
---|---|---|
振袖 | セット料金 約20万円〜30万円 | 約20万円〜 |
着付け・ヘアメイク | 約2万円〜3万円 | |
小物一式 | 約7万円〜18万円 | |
メンテナンス | 約1.5万円〜 | |
前撮り | 約3万円~7万円 | |
総額 | 約20万円〜30万円 | 約30万円〜約50万円 |
中振袖の選び方
ここからは、中振袖の選び方のポイントについて解説します。選び方のポイントとしては以下の通りです。
- 人気・定番色で選ぶ
- トレンド色で選ぶ
- 見せたいイメージで選ぶ
- パーソナルカラーにあう振袖を選ぶ
人気・定番色で選ぶ
色で迷ってしまうなら、人気・定番色で選ぶのも1つの手段。例えばお祝いシーンにぴったりで華やかな赤、青、白、緑などは定番の人気カラー。
人気・定番色は取り扱いが豊富なため、幅広い種類やデザインの中からお気に入りの一着を選べるのが魅力です。
トレンド色で選ぶ
今だけしかできない装いを楽しむなら、トレンドカラーを選んでみるのもおすすめ。2025年のトレンドは以下の通りです。
色 | 柄・デザイン |
---|---|
緑系のカラー | 華やかな花柄が施されたデザインが人気 |
白×黒 | モダンな雰囲気で着こなせるモノトーンカラー |
くすみカラー | ピンク、ベージュ、クリーム色といったくすみカラーは、振袖でも人気 |
バイカラー | ハイセンスな着こなしをしたい方にぴったり |
見せたいイメージで選ぶ
可愛い系なら小ぶりの花柄に、大人系なら落ち着いた色合いにするなど、自分が見せたいイメージに合わせて選ぶのも1つの手段。以下のポイント表も参考にしてみてください。
見せたいイメージ | おすすめの色や柄 |
---|---|
可愛い系 | 明るい色合いや、小ぶりの花柄など |
大人系 | 落ち着いた色合いや控えめな柄 |
クール系 | 暗めカラーやワンポイントが施されたもの、モノトーンカラーやバイカラーなど |
個性派 | ユニークな柄やアート風のデザイン |
パーソナルカラーにあう振袖を選ぶ
パーソナルカラーとは、自分の肌の色や髪の色に似合う色のこと。振袖選びで自分のパーソナルカラーを意識すれば、似合う振袖を見つけやすくなりおすすめです。
パーソナルカラーのタイプ | 似合う色 |
---|---|
春タイプ (スプリング) | 明るく温かみのある色 ・淡いピンク、ペールイエロー、クリーム色、アクアブルーなど |
夏タイプ (サマー) | 涼しげで落ち着いた色 ・淡いブルー、ラベンダー、ミントグリーン、ソフトグレーなど |
秋タイプ (オータム) | 温かみのある深い色 ・オレンジ、テラコッタ、ブラウン、カーキなど |
冬タイプ (ウィンター) | 鮮やかでクールな色 ・深いブルー、真紅、ブラック、ホワイトなど |
身長や体型にあった振袖を選ぶ
振袖選びでは、身長や体型に合わせたデザイン選びも重要です。
身長や体型 | おすすめの色や柄 |
---|---|
身長が高い方 | 大柄なデザインやはっきりとした色使い |
身長が低い方 | 細かな柄や優しい配色のデザイン、上品な花柄など |
ふくよかな方 | ななめや縦にラインの入ったもの |
細身の方 | ボリューム感のある総絞りの振袖や染め柄など |
例えば身長が高い方の場合、大柄なデザインやはっきりとした色使いの振袖が似合うのが特徴。色柄に負けずにかっこよく着こなせます。
一方、身長の低い方には細かな柄や優しい配色のデザインが特におすすめ。全体的に軽やかな印象になるので、控えめなデザインや上品な花柄などがよく似合います。
ふくよかな方はななめや縦にラインの入ったもの、細身の方はボリューム感のある総絞りの振袖や染め柄などが合わせやすくおすすめです。
中振袖を着る時のマナー
成人式や卒業式では厳格なルールはありません。自分が主役のハレの日として、好みのスタイル・コーデで中振袖を楽しみましょう。
一方、結婚式では花嫁に配慮してマナーを守ることが求められます。前述したポイントをチェックして、品のよいコーディネートでの参列を心がけてみてください。
中振袖を小振袖や訪問着にリメイクできる?
「中振袖を小振袖や訪問着にリメイクしたい」と考えている方もいるかもしれません。柄やデザインによっては技術的には可能な場合もありますが、基本的にはやめておきましょう。
中振袖の柄やデザインは、袖丈に合わせて配置されているため、袖を短く切ると柄が途切れてしまう可能性があります。また、中振袖の色やデザインは華やかな物が多く、訪問着として使うには派手すぎる場合もあります。
せっかく訪問着に仕立て直しても、着る機会がなく、さらに振袖としても使えなくなってしまっては本末転倒。そのため、中振袖はそのまま保管しておき、親族や子どもに引き継ぐのがおすすめです。
まとめ
中振袖について特徴や着用シーン、選び方のポイントを解説しました。中振袖は成人式や卒業式、結婚式の参列など、特別なハレの日に着用される振袖の1つ。
10代〜20代向けの華やかなデザインが多くなっているため、今しかできないコーディネートを思いっきり楽しみましょう。
一方で結婚式の参列では一定のマナーが求められます。本記事を参考に、自分にぴったりな中振袖を見つけてみてください。