成人式の定番スタイルである振袖ですが、その意味や由来について気になる方も多いことでしょう。そこで本記事では、振袖の意味や由来、着用シーンについて解説します。
また、色や柄ごとの意味・由来についてもまとめました。歴史の背景を理解すれば、振袖選びやコーディネートにも活かせるはず。ぜひ、参考にしてみてください。
振袖を着る意味は?
振袖は日本の伝統的な衣装であり、特に未婚女性にとっては重要な意味を持っています。その由来や着用する意義について詳しく見ていきましょう。
成人の象徴
成人式で振袖を着ることは、大人への階段を上るという意味があるとされます。振袖は未婚女性の第一礼装なので、実際に成人式にぴったりな衣装であることは間違いありません。
多くの女性が振袖を着用することから、「成人式には振袖を着たい!」と決めている方も多いでしょう。
厄払いやお清めの意味もある
振袖の着用には、厄払いやお清めの意味も込められています。厄年に「長い袖で厄を振り払う」という習慣は、現在の成人式における振袖の着用にも通ずるものがあると考えられています。
恋愛表現としてのサイン
「袖を振る」ということは、恋愛表現としてのサインであったとされています。当時、振袖の袖を左右に振ると「求婚を受け入れる」、前後に振ると「求婚を拒否する」という意味合いがあったようです。
現代ではこのような表現が使われるものはないものの、恋愛で使われる「振る」「振られる」といった言葉は、振袖が由来であるとされています。
振袖の定義と種類
振袖とは、着物の種類の一つです。長い袂(たもと) のある、長い袖丈の着物のことを「振袖(ふりそで)」といいます。以下では、振袖の定義と種類、着用シーンについて詳しくみてみましょう。
振袖は未婚女性の第一礼装
振袖は未婚女性のための第一礼装です。未婚である限り、特定の年齢までしか着られないといった厳密なルールは特にありません。格式が高く、成人式や結婚式、卒業式など、フォーマルなお祝いのシーンで広く着用されます。
なお、既婚女性の第一礼装は「黒留袖」や「五つ紋の色留袖」とされており、結婚すると振袖を着る機会はほぼなくなります。
振袖の種類と着用シーン
振袖は袖の長さによって「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類に分けられるのが特徴。袖が長いほど格が高いとされ、「大振袖>中振袖>小振袖」の順で格付けされています。
振袖の種類 | 着られる人 | 着用シーン |
---|---|---|
大振袖 | 未婚女性のみ ※主に10-20代 | 花嫁衣裳 |
中振袖 | 成人式、結婚式の参列 | |
小振袖 | 外出時、卒業式で袴に合わせて着用 |
振袖の歴史
振袖は、遡ると江戸時代からの着用が確認されています(※)。江戸時代になると、若い女性が着る正装の袖丈が徐々に長くなっていきました。
当時は未婚であることをわかりやすくするために振袖が着用されていたといいますが、洋服が普段着となった現代では、成人式や卒業式など、お祝いシーンの装いの定番となっています。
※ “e国宝 公式HP” 参照
振袖の色が持つ意味
振袖だけでなく色そのものにも意味があるとされています。振袖の色の意味を知ることで、振袖に対する愛着もより湧くことでしょう。
以下に色ごとの持つ意味をまとめたので、参考にしてみてください。
色 | 意味と由来 |
---|---|
赤 | 情熱、力強さ、魔除け、厄払い、生命力、エネルギー |
青 | 知性、落ち着き、清涼感、爽やかさ |
黄 | 豊かさ、実り多き人生 |
白 | 純真無垢、清廉潔白 |
黒 | 格が高い、高貴 |
緑 | 若々しさ、成長 |
ピンク | 可愛らしさ、優しさ |
紫 | 高貴・神秘的 |

振袖の柄が持つ意味
色だけでなく、伝統的な柄にもそれぞれ意味や由来があるとされています。以下のような柄は、成人式のようなおめでたい日に、祝福や縁起を担ぐために選ばれることが多いです。
振袖の柄 | 意味と由来 |
---|---|
松竹梅 | 生命力と力強さ、繁栄 |
鞠 | 幸せが続くように、困難を丸く収める |
桜 | 幸運、五穀豊穣、春の訪れ |
亀甲文様 | 長寿、永遠の繁栄 |
組ひも | 絆、結びつき |
橘 | 長寿、子孫繁栄 |
熨斗柄 | 縁起がよく、吉祥 |
雪輪 | 豊作、五穀の精 |
流水文様 | 清らかさ、厄災を流す |
鶴 | 長寿 |
御所車 | 高貴、典雅 |
矢羽根 | 魔除け、力強さ、進展 |
七宝 | 繁栄、円満な人間関係 |
松皮菱 | 長寿、若さ |
麻の葉 | 成長の早さ、魔除け |
バラ | 愛、情熱、友情、清純さ |
青海波 | 幸せな未来、平穏無事 |
藤 | 長寿、子孫繁栄 |
蝶 | 立身出世、不死不滅 |
扇面 | 繁栄、発展 |

振袖の選び方
振袖選びに悩んでいる方向けに、ここでは振袖の選び方のポイントをまとめました。
- 色や柄で選ぶ
- 似合うイメージで選ぶ
- 身長と体型に合わせて選ぶ
なお、振袖選びの流れや全体像をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

色や柄で選ぶ
振袖は豊富な色とデザインが魅力です。特に成人式で着用する場合などは、色や柄が自分の好みに合うものを選ぶようにしましょう。
本記事で紹介した色や柄の意味も踏まえて、お気に入りの一着を選んでみてください。
似合うイメージで選ぶ
せっかく振袖を着るなら、自分にぴったりな一着を選びたいもの。「似合う」を重視するなら、パーソナルカラー診断を活用するのもおすすめです。
パーソナルカラーとは、その人の肌や髪、目の色などの特徴に基づいて、より似合う色を見つけ出す方法のこと。
主に「スプリング(春)」「サマー(夏)」「オータム(秋)」「ウィンター(冬)」の4つの季節タイプに分類され、それぞれ似合う色の系統が異なります。
簡単な結果を知りたい場合はインターネットでも調べられるので、チェックしてみるとよいでしょう。
身長と体型に合わせて選ぶ
身長と体型に合わせて選ぶのも1つです。身長が高い方であれば、大柄の模様やビビットなカラーも華やかに着こなせます。反対に身長が低めの場合は、小柄な模様や淡いカラーの振袖を選ぶと可愛らしく上品に着こなせるでしょう。
また、体型によっても選び方が変わります。例えば、肩幅が気になる場合は袖の柄で目線を下に誘導するデザイン、ウエストにメリハリをつけたい場合は帯の位置や色使いで調整するなど、工夫次第でなりたいイメージに近づけられます。
振袖とほかの着物の違い
振袖とほかの着物の違いは以下の通りです。
振袖は袖が長いのが特徴です。袖の長さで見分けやすいですが、着物には振袖のほかにもさまざまな種類があります。
着物の種類 | 特徴 | 着用シーン |
---|---|---|
振袖 | 袖丈を長く仕立てた着物 | 成人式・結婚式など |
留袖 | 格式高い着物 | 親族の結婚式・授賞式など |
訪問着 | 年齢や婚歴に関わらず着用できる準礼装の着物 | 結婚式など |
浴衣 | 綿でできた夏用の着物 | お祭りなど |
袴 | フレアーズボンのような形 | 大学の卒業式など |
小紋 | 普段使いできる | 軽い外出着 |
振袖の意味に関するよくある質問
最後に、振袖の意味に関するよくある質問をまとめました。
Q. 振袖の読み方は?
振袖の読み方は、そのまま「ふりそで」と読みます。振袖は長い袖のついた和装で、未婚女性の第一礼装です。
Q. 成人式に振袖を着るのはなぜ?
振袖に込められた意味は、「大人への階段を上る」「厄払い」「お清め」など。成人のお祝いにぴったりな装いです。また、写真映えもよく華やかな装いを楽しめることから、現代の成人式の定番スタイルとなっています。
Q. 振袖を着用できる年齢はいつまで?
振袖は未婚女性の第一礼装です。未婚女性である限りは、特に厳密な年齢制限は設けられていません。とはいえ、振袖のデザインは華やかな若者向けのものが多く、30代以降になるとバランスが悪く見えてしまうことも。
そういった場合は、上品な訪問着や色留袖の着用がおすすめです。

まとめ
本記事では、振袖の持つ意味や由来について解説しました。振袖は江戸時代頃から着用されてきたとされ、現代でも未婚女性の第一礼装として広く着用されています。
「大人への階段を上る」「厄払い・お清め」といった意味があることから、成人式での定番スタイルとなっていることも特徴。振袖の持つ意味や由来を理解して、振袖の着こなしをよりもっと楽しみましょう!