成人式で着た「振袖」を、結婚式の「色打掛」へとリメイクすることも可能です。
この記事では、振袖から色打掛へのリメイクが可能な条件や費用感、仕立て方の種類、注意点まで詳しく紹介していきます。和装婚を考えている方や、思い出の振袖をもう一度着たい方はぜひ参考にしてください。
振袖を色打掛にリメイクできる?

振袖と色打掛はどちらも袖が長く、ベースの構造が似ています。そのため、縫い直しや裏地の仕立て直しなどを行えば、結婚式で使用できる花嫁衣装の「色打掛」として生まれ変わらせることが可能です。
一般的には、振袖をいったんほどいてから専門の業者で洗い張り(あらいはり)を行い、そこに花嫁衣装として必要な裏地や比翼、掛下とのバランスを加えた形で仕立て直すことでリメイクが完成します。
振袖を色打掛に仕立て直す場合の料金
振袖を色打掛へリメイクする場合、内容によって費用は大きく変動します。おおよその相場として、安いものであれば6万円程度から可能です。
打掛として完全な和装婚礼仕立てにする場合は高額になる傾向がありますが、引き振袖として軽やかに仕上げるなら、比較的費用は抑えやすくなります。
振袖をリメイクできる花嫁衣装の種類
振袖からリメイクできる代表的な花嫁衣装には、主に以下の2種類があります。それぞれの特徴と、どんな人におすすめかを見てみましょう。
種類 | 特徴 | おすすめな人 |
---|---|---|
打掛 | ・上から羽織る重厚なスタイル ・格式が高く豪華な印象 | 和の厳かな雰囲気を演出したい方 |
引振袖 | ・裾を引いたまま着る振袖仕立て ・帯が見えるスタイル | 軽やかで動きやすい和装を着たい方 |
打掛
打掛は、着物の上から羽織るタイプの格式高い和装です。裾を引きずるように着ることで、豪華さと華やかさが際立ちます。
振袖をベースにした場合も、比翼仕立てを施し、裏地を重ねることで十分な厚みと重厚感が出せるでしょう。
披露宴や神前式、前撮りなど、厳かなシーンや写真映えを重視したい場合におすすめです。
引振袖
引き振袖は振袖の裾を引いて着る花嫁スタイルで、帯結びが見えるため後ろ姿が美しいのが特徴。もともと振袖と形が同じなので、リメイクの手間も比較的少なく済みます。
打掛に比べると軽やかで動きやすいため、お色直しや披露宴中の衣装としても人気です。
振袖のリメイクは自分でできる?
振袖から色打掛や引き振袖へのリメイクは、個人で行うのは非常に難しい作業です。予算を抑えたい場合でも、「洗い張り」と「仕立て直し」は専門業者に相談することをおすすめします。
依頼の前に、見積もりと合わせて、手元にある振袖がリメイクに向いているかどうかも判断してもらいましょう。
リメイクしない場合は「ママ振り」に取っておこう
今すぐに振袖をリメイクする予定がない場合は、大切に保管しておくことで、将来「ママ振り」として再び活用できる可能性があります。
ママ振りとは、母親が成人式などで着用した振袖を、娘が受け継いで着るスタイルのこと。思い出の詰まった着物を次世代に繋ぐ、素敵な選択肢です。
思い出を大切にしたい方は、無理に切ったり縫い直したりせず、綺麗な状態でそのまま保管しておきましょう。

結婚式で色打掛を着用する場合のマナー

結婚式で色打掛を着用する場合のマナーは以下の通りです。
- 主役としての装いにふさわしい配色・柄を選ぶ
- 挙式と披露宴での使い分けを意識する
主役としての装いにふさわしい配色・柄を選ぶ
色打掛は非常に豪華な見た目なので、結婚式にはぴったりの装いです。自分が主役のため、他の参列者の服装を気にする必要はありません。
ただし、極端に派手すぎる柄や奇抜な配色は、格式ある場にふさわしくないこともあるため、着物専門店などでアドバイスをもらいながら選ぶのがおすすめです。
挙式と披露宴での使い分けを意識する
色打掛は挙式で着ることも可能ですが、白無垢で挙式し、お色直しで色打掛にチェンジする花嫁が多いです。華やかで写真映えも良いため、披露宴や前撮りにもぴったり。結婚式のイメージやシーンに合わせて、使い分けを意識してみましょう。
色打掛を着用する場合のコーデのコツ
色打掛を着用する場合のコーデのコツは以下の通りです。
- 掛下や小物の配色を意識
- 帯や草履にもこだわる
掛下や小物の配色を意識
色打掛そのものが華やかなため、掛下や小物は落ち着いたトーンでまとめるとバランスが取りやすくなります。
一方、掛下の色に明るさや差し色を取り入れることで、印象にメリハリをつけることも可能。小物の色は2〜3色以内にまとめると、すっきりとした着こなしに仕上がります。
帯や草履にもこだわる
色打掛では帯が隠れて見えにくくなりますが、ちらりと覗く帯や草履にも気を配ると細部まで美しい印象になります。懐剣、筥迫(はこせこ)なども色打掛に合わせて選びましょう。
花嫁衣装として人気の色打掛の色
花嫁衣装としての色打掛は、赤系やピンク系の色味が人気です。
赤系
赤は伝統的な和装婚の中でも特に人気の高いカラーで、お祝いの席にぴったりな色味です。
金や白、黒との相性もよく、格式を保ちつつ華やかに見せてくれるため、挙式から披露宴まで幅広く活躍してくれるはず。和柄の刺繍や金糸が映えるので、写真映えもばっちりです。
ピンク系
ピンクの色打掛は、やさしく女性らしい雰囲気を演出したい花嫁に人気のカラー。
淡いトーンであればナチュラルな会場ともなじみやすく、春婚やガーデンウェディングにもぴったり。落ち着いたくすみピンクを選べば、大人っぽい印象にも仕上がります。
色打掛を着用する際の着付けのコツ
色打掛を着用する際の着付けのコツは以下の通りです。
- 衿元をしっかり整える
- 裾さばきを意識して着付けてもらう
衿元をしっかり整える
色打掛は掛下(かけした)という白い着物の上に羽織るスタイル。衿元が2〜3枚重なって見えるため、重なり具合や抜き加減で印象が大きく変わります。
特に花嫁らしい清潔感や格式を演出するには、衿をやや深めに抜き、首元をすっきりと見せるのがポイントです。
裾さばきを意識して着付けてもらう
色打掛は裾を引いて着るため、歩くときに裾を踏まないように調整する必要があります。内側に折り込みすぎると短く見えてしまい、引きずりすぎると動きにくくなるため注意が必要。
着付けの際は、身長や草履の高さに合わせて裾の長さを調整してもらいましょう。
色打掛を着用する際のヘアメイクのコツ

- ヘアアレンジは「まとめ髪」or「和洋ミックス」がおすすめ
- メイクは上品かつ華やかに
ヘアアレンジは「まとめ髪」or「和洋ミックス」がおすすめ
定番は、シニヨンや日本髪風のきっちりとしたまとめ髪。クラシックな印象にしたい場合はつや感のあるきれいめなまとめ方がおすすめです。
個性を出したい場合は、編み込みやローポニーなどを組み合わせた和洋ミックスのスタイルも人気。髪飾りには金箔、水引、ドライフラワーなどをプラスして、華やかさを引き立てましょう。
メイクは上品かつ華やかに
色打掛の色味に負けないよう、目元やリップにはしっかりとしたカラーを使うのがポイント。
ただし、派手になりすぎないように、全体のバランスを見ながら調整しましょう。ピンク系・赤系のチークやリップは、色打掛と相性が良く、血色感を自然にプラスできます。
自身にあった花嫁衣装(和装)の選び方
以下では、自身にあった花嫁衣装(和装)の選び方について紹介します。
- 見せたいイメージで選ぶ
- 色で選ぶ
- 動きやすさで選ぶ
- 写真写りで選ぶ
見せたいイメージで選ぶ
まずは見せたいイメージを考慮しましょう。
例えば清楚な雰囲気を重視するなら白無垢、華やかさを求めるなら色打掛、美しい立ち姿を見せたいなら引き振袖など、特徴を踏まえて選ぶのがポイント。
それぞれの和装が持つ魅力を活かして、結婚式のテーマや会場の雰囲気に合わせて選ぶのがおすすめです。
色で選ぶ
花嫁衣装として、どの色を着たいかも重要なポイントです。先に触れた通り、色打掛は赤・ピンク、引き振袖は黒、白無垢なら白が主流です。もちろん他の色を選ぶこともできますが、人気な定番カラーほど取り扱いが多く、豊富な種類の中から選べます。
動きやすさで選ぶ
和装というとドレスに比べて動きにくいという印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、上質な正絹や軽量な素材を使用したものを選べば、驚くほど動きやすいものもあります。気になる着物があれば、まずは試着して動きやすさも確かめてみましょう。
写真写りで選ぶ
結婚式の写真は、一生の思い出として残るもの。写真映えを意識したい場合は、写真写りで選ぶのもひとつです。
例えば織物で作られた打掛はハリがあるので、豪華で重厚感のあるイメージにしたいときにおすすめ。ただし身体のラインが出にくく、映り方によっては着膨れして見えてしまうこともあるので注意が必要です。
しなやかな素材の引き振袖は身体のシルエットを美しく見せてくれるので、立ち姿を美しく見せたい方におすすめ。また、白無垢は光を反射しやすいため、写真では顔色が明るく映るというメリットもあります。
上記のような特徴も考慮して、写真写りを意識した衣装選びをしてみましょう。
振袖・色打掛に関するよくある質問
Q.色打掛のルールは?
色打掛には、「白無垢の次に着るもの」「色打掛を着た後に白無垢にすることはできない」というルールがあります。これは、色打掛に「婚家の人になった」という意味が込められているためです。
Q.色打掛のレンタル費用は平均いくらですか?
レンタルの場合、相場は20万〜50万円程度が一般的。衣装のグレードやブランド、刺繍や金箔の使用量によって価格が変動します。着付け・ヘアメイク込みのプランも多いため、総額で比較するのがおすすめです。
Q.振袖のNG色は何ですか?
基本的に「振袖にNGな色」はありません。ただし、成人式や結婚式など、シーンに応じて落ち着きと華やかさのある色が好まれます。
Q.白無垢から色打掛への掛け替えの値段は?
白無垢から色打掛へ掛け替える場合、1回あたり2万〜5万円前後が目安です。内容には着付け直し、ヘアチェンジ、メイク直しなども含まれます。掛け替えのタイミングやボリューム感によって所要時間と費用が変わるため、事前の見積もりが重要です。
まとめ
成人式の振袖を色打掛にリメイクする際のポイントを解説しました。リメイクにはある程度の費用と時間がかかりますが、プロの手に任せることで美しい仕上がりが期待できます。
もしリメイクを迷っている場合は、大切に保管して「ママ振り」として次世代へ受け継ぐのもおすすめです。