本記事では総絞りの振袖について、特徴やメリットやデメリット、相場や高い理由を解説します。また、総絞りの振袖の購入やレンタルを検討している方に向けて、購入費用を安く抑えるコツなどもまとめました。
記事の後半では総絞りの振袖のおすすめコーディネートもご紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
総絞りの振袖とは?
「絞り」とは、生地を絞り染めという技法で染めることをいいます。「総絞り」とは、着物や振袖のすべてを絞り染めしたもののことです。
総絞りは、日本で6〜7世紀頃から行われていた技法。布を絞って染めることで、染料で染まる部分と染まらない部分がうまれて独特の模様になります。
総絞りの振袖は、通常の振袖と比べてより上品で華やかなところが特徴です。絞り染めによって生まれる「シボ」と呼ばれる凸凹ができ、より立体的な印象を与えてくれます。
総絞りの振袖が高い理由
総絞りの振袖は、通常の振袖よりも高価です。
これは、絞り染め自体に高い技術が求められる点や、1つ1つの「シボ」を作るのに、多くの時間と手間がかかるためです。
ものによっては、製作に1年以上かかる場合もあります。
振袖に施されている絞りの種類
総絞りの振袖は、模様のバリエーションが多いところも魅力の1つ。使用する絞りの技法によって、見た目や仕上がりが異なります。
例えば、くくり技法と染め分け技法を用いて施す「鹿の子絞り」や、鹿の子の目を全体に敷き詰めた「疋田絞り」などが基本です。
また、プリントや織り方によって、絞りのように見えるデザインを施す「絞りそめ風」の振袖もあります。間近でよく見ると総絞りの振袖のような凹凸感や立体感はないものの、絞りそめ風の振袖は比較的安価に手に入れられるのが特徴です。
総絞りの振袖を選ぶメリットとデメリット
総絞りの振袖が気になっていても、通常の振袖と悩んでいる方も多いでしょう。以下では、総絞りの振袖を選ぶメリットとデメリットについてまとめました。
総絞りの振袖は高価格帯のものが多いため、メリットだけでなくデメリットも踏まえた上で検討することをおすすめします。
総絞りの振袖を選ぶメリット
総絞りの振袖を選ぶメリットは以下の通りです。
- 人と被りにくく個性が出る
- 生地が上質で着心地が良い
- 生地が頑丈で長く着用できる
- 保温性が高い
- 希少価値が高い
総絞りの振袖を選ぶ人は限られるため、成人式やイベントで個性を出したいときにおすすめです。また生地が上質で着心地もよく、長く着用しやすいことも総絞りならではのメリット。
ほかにも保温性が高い、希少価値が高いといった魅力もあります。
総絞りの振袖を選ぶデメリット
総絞りの振袖を選ぶデメリットは以下の通りです。
- 一般的な振袖と比べ値段が高い
- 取り扱いのある店舗数が少ない
- 品数が少なく色柄のバリエーションが少ない
- 保管やクリーニングの手間がかかる
総絞りの振袖は一般的な振袖と比較して価格帯が高く、取り扱いのある店舗数が限られます。取り扱いがあった場合も品数が少なかったり、色柄のバリエーションが少なかったりする可能性もあるでしょう。
また総絞りはより繊細な生地になるので、保管やクリーニングの手間がかかる点にも注意が必要です。
総絞りの振袖の料金相場
振袖購入やレンタルを検討している方向けに、絞りの振袖にかかる料金目安をまとめました。ただしあくまで目安になるので、実際の料金や詳細は事前に専門店やレンタルショップに確認するようにしてください。
振袖の種類 | 購入 | レンタル |
---|---|---|
一般的な振袖 | 30万円〜50万円程度 | 20万円〜30万円程度 |
総絞りの振袖 | 100万円~ | 50万円程度 |
総絞りの振袖の費用を安く抑えるコツ
費用を抑えて、少しでも安く総絞りの振袖を購入したい方もいるでしょう。ここからは、総絞りの振袖の費用を安く抑えるコツをご紹介します。
店舗の割引キャンペーンを活用する
店舗によっては、早割キャンペーンを開催しているところもあります。特に成人式の振袖は、売り出しの時期によって価格が変わることがあるため、早い時期からチェックしましょう。
割引キャンペーンを活用することで、通常よりもお得に総絞りの振袖を購入したり、レンタルしたりできます。
セットプランを利用する
振袖だけでなく、着用に必要なアイテムを一式揃えるなら、小物類や前撮りなどがついたセットプランがお得です。
一方で、総絞りの振袖は高価なものになるため、キャンペーン対象外のケースもあります。セットプランを利用する際は、詳細や適用条件を事前に確認してみてください。
総絞りの振袖に関する注意点
総絞りの振袖を着用する際の注意点をご紹介します。
シーン | 注意点 |
---|---|
仕立て | ・身長が高いと仕立てられないケースがある ・購入時に撥水加工(ガード加工)をする |
着用時 | ・汗や雨に濡れたらすぐに拭き取る |
保管 | ・重いものを振袖の上にのせない ・湿度が高い場所で振袖を保管しない |
それぞれ見ていきましょう。
【仕立て】身長が高いと仕立てられないケースも
身長が高い場合、販売店舗によっては仕立てが難しいケースがあります。総絞りでは生地を絞る際に通常よりも幅が縮み、仕立てられるサイズが通常の振袖に比べて小さくなるためです。
総絞りの振袖を美しく仕立てるには、身長160cm前後が目安であるとされています。これよりも身長が高い方は、部分絞りがおすすめです。
【仕立て】購入時に撥水加工(ガード加工)をする
総絞りの振袖を購入する場合、撥水加工(ガード加工)をするのがおすすめ。総絞りの振袖は特に湿気に弱いため、撥水加工によりダメージを軽減させられます。
撥水加工の料金は店舗によって異なりますが、おおよそ5,000円〜2万円が目安です。振袖の状態によっても異なるため、事前に見積もりを取るようにしましょう。
着物専門のクリーニングを行っている弊社では、生地にフッ素性液体樹脂を浸透させることで水の浸透を防ぐ撥水加工が可能です。1万円程度からご利用可能なので、気軽にご相談ください。
【着用時】汗や雨に濡れたらすぐに拭き取る
着用時のケアも大切です。総絞りの振袖は湿気に弱いため、もしも汗や雨に濡れてしまった場合はすぐに拭き取りましょう。購入時に撥水加工をしておくと、初回の着用時からダメージを軽減できておすすめです。
【保管】重いものを振袖の上にのせない
保管時は、重いものを振袖の上にのせないようにしましょう。絞りの特徴である凹凸が消えてしまう可能性があるためです。せっかくの絞りが消えてしまわないように、振袖の上にはものを乗せずに保管することをおすすめします。
【保管】湿度が高い場所で振袖を保管しない
振袖や着物は湿気に弱いため、湿度の高い場所での保管はNGです。特に総絞りの振袖は凹凸や染料が落ちてしまう場合があるため注意が必要。
保管場所は湿気の少ないところを選び、定期的に風通しのよい場所で虫干しをして湿気を取り除きましょう。湿気を防ぐことで、カビや害虫の発生を未然に防止できます。
総絞りの振袖はレンタルできる?
総絞りの振袖はレンタルすることも可能です。レンタル費用の相場は50万円程度です。ただし、取り扱いのあるお店は少ないため、事前に店舗へ取り扱いの有無や料金を確認しておくことをおすすめします。
総絞りの振袖を着用する際のおすすめのコーディネート
最後に、総絞りの振袖を着用する際のおすすめのコーディネートをご紹介します。これから総絞りの振袖を着用する予定のある方は参考にしてみてください。
- 和テイストで古典的なスタイルがおすすめ
- 髪型で大人な雰囲気を演出する
- 帯締めや帯揚げでワンポイントを作る
それぞれ見ていきましょう。
和テイストで古典的なスタイルがおすすめ
総絞りの振袖は、流行に左右されない上品な華やかさが魅力。総絞りの振袖を活かすなら、和テイストで古典的なスタイルがおすすめです。
総絞りの振袖自体が伝統的な雰囲気なので、小物もそれにあった和テイストなものに統一することできれいにまとまります。
髪型で大人な雰囲気を演出する
総絞りの振袖に合わせて、髪型は大人な雰囲気を演出するのもよいでしょう。総絞りの振袖は古典的な柄が多いので、黒色を選ぶと落ち着きのある大人な雰囲気になり素敵です。
クールに仕上げたい場合はシンプルなアップスタイルがおすすめ。ゆるめのカールをつけて、レトロガーリーな雰囲気にしても可愛らしく仕上がります。
帯締めや帯揚げでワンポイントを作る
帯締めや帯揚げで、ワンポイントを作ることを意識してみてください。帯を振袖に合わせた単色にして、帯締めや帯揚げのカラーを引き立てるとおしゃれにまとまりおすすめです。
まとめ
総絞りの振袖について解説しました。総絞りの振袖は、着物らしい和テイストで上品な華やかさが魅力。
通常の振袖よりも製作に時間と手間がかかるため、購入もレンタルも価格は高くなりやすいのが特徴です。セットプランや割引キャンペーンを活用すれば、総絞りの振袖をお得に手に入れられるかもしれません。
また、総絞りの生地は繊細なため、着用時や保管時は傷まないようにケアが必要です。不安な場合は、購入時に撥水加工をするとよいでしょう。美しい総絞りの振袖の中から、ぜひ自分に合ったデザインのものを見つけてみてください。