振袖と留袖の違いは?特徴・着用シーン、黒留袖や色留袖の違いを解説

本記事では、振袖と留袖の違いについて詳しく解説。振袖も留袖も着物の一種ですが、着用できるシーンや着られる人、コーディネートなどが異なります。振袖と留袖の着用時のマナーや着こなしについてもわかりやすくまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

振袖と留袖の違いは?

振袖と留袖の違いについて、「何が違うの?」と疑問を持っている方もいることでしょう。振袖と留袖も着物の1つですが、両者には着用者や着用シーンに明確な違いがあります。

その中でも最も大きな違いは「袖の長さ」で、袖が長いものを振袖、袖が短く裾周りだけに柄が入っているものを留袖といいます。また、振袖が未婚女性の正装であるのに対し、黒留袖が既婚女性の正装、色留袖は未婚・既婚を問わず着用できる点も異なります。

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名称種類着られる人着用シーン
振袖大振袖未婚女性のみ
※主に10-20代
花嫁衣裳
中振袖成人式、結婚式の参列
小振袖外出時、卒業式で袴に合わせて着用
留袖黒留袖既婚女性のみ結婚式・披露宴
(新郎新婦の母親として)
色留袖未婚・既婚を問わず着用可能結婚式・披露宴(ゲストとして)

振袖とは

出典:PIXTA

振袖とは、袖丈が長く仕立てられ、長い袂(和服の袖の下の袋状のところ)が付いている着物のことです。未婚女性の第一礼装であるとされ、成人式や結婚式のお呼ばれなどお祝いシーンで広く着用されます。袖の長さが長いほど、「格式が高い」とされることも特徴です。

柄やデザインも豊富で、花や蝶があしらわれた古典柄や、モダンなハート、星柄などを取り入れたデザインなど、さまざまな種類があります。

留袖とは

出典:PIXTA

留袖は、振袖と比べて袖が短く、裾の部分にのみ模様が入っているのが特徴です。振袖同様に格式高い正装であり、結婚式などのフォーマルなシーンで着用されます。

留袖は「黒留袖」と「色留袖」の2種類に分けられ、黒留袖は既婚女性が着用し、色留袖は未婚・既婚を問わず着用できる点が最も大きな違いです。

振袖の種類と着用シーン

振袖は袖の長さによって「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類に分けられるのも特徴。袖が長いほど格が高いとされ、「大振袖>中振袖>小振袖」の順で格付けされています。

名称袖の長さ着用シーン
大振袖約104~120cm花嫁衣裳
中振袖約100cm成人式、結婚式の参列
小振袖約85cm外出時、卒業式で袴に合わせて着用

大振袖の特徴

大振袖は3種類の中で1番袖が長く、最も格式の高い振袖です。一般的に、花嫁衣裳として着用されます。

中振袖の特徴

大振袖の次に袖が長い中振袖は、結婚式の参列や成人式などお祝いの場に適しています。袖は膝ぐらいまでの長さで、花嫁衣装ほどの長さはないものの、華やかに着こなせます。

小振袖の特徴

小振袖(二尺袖)は袖が約85cmと短く、着る人の身長の半分程度の長さです。お茶会などの外出時や、卒業式で袴に合わせて着用するのが特徴です。振袖の中でもカジュアルなので、気軽に礼装を楽しみたいときに着用できます。

振袖の着用マナー

以下では、振袖の着用マナーについて解説します。振袖で押さえておきたい基本の着用マナーは、以下の通りです。

振袖の着用マナー
  • 10-20代がメイン、既婚女性は着用しない
  • TPOにあった色や柄を選ぶ
  • 帯結びもTPOにあわせる

10-20代がメイン、既婚女性は着用しない

振袖を着用するのは、10〜20代の未婚女性がメインです。現代ではそこまで気にされませんが、「振袖は若い既婚女性が着用するもの」という認識を持っている人もいるため、基本的に既婚女性は着用しないことが多いです。

既婚女性の場合や年齢が気になる方は、訪問着を選ぶとよいでしょう。

TPOにあった色や柄を選ぶ

振袖も普段着用している洋服と同様に、TPOにあった色や柄を選ぶことが大切です。例えば、二十歳の成人式では自分が主役であり、どのような色・デザインの振袖を着ても構いません。

一方で結婚式のゲストとして振袖を着用する際は、新郎新婦よりも目立つような装いは避けるべきです。少し落ち着いた色・柄を選ぶなど、TPOに合わせることを意識しましょう。

帯結びもTPOにあわせる

振袖の色や柄同様に、帯結びもTPOにあわせて変えるのがマナーです。

結婚式に参列者側で振袖を着用する場合、振袖の格に合わせて帯結びは「お太鼓結び」や「文庫結び」などシンプルな結び方が基本。

成人式で着用する場合は、上記を華やかにアレンジした結び方でもかわいらしく着こなせます。

留袖の種類と着用シーン

留袖は「黒留袖」と「色留袖」の2種類に分けられます。以下では、それぞれの特徴について解説します。

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名称地色紋の数着られる人着用シーン
黒留袖五つ紋既婚女性のみ結婚式・披露宴
(新郎新婦の母親として)
色留袖黒以外五つ紋、三つ紋、一つ紋未婚・既婚を問わず着用可能結婚式・披露宴
(ゲストとして)

黒留袖の特徴

黒留袖は黒地の着物に、裾のみに絵羽模様があしらわれているのが特徴。既婚女性の第一礼装であるとされ、留袖の中でも格式高い着物です。

結婚式においては、新郎新婦の母親や姉妹、祖母、伯母・叔母など、ごく近い親族のみが着用できます。

色留袖の特徴

色留袖は、黒以外の色をした留袖のことです。黒留袖とは異なり、未婚女性でも着用が可能。比翼と五つ紋がついていれば、黒留袖と同じ第一礼装として着用できます。

一方、それ以外の仕立ての場合は準礼装としての扱いです。結婚式のほかにも、パーティやお茶会などでも着用できます。

留袖の着用マナー

以下では、留袖の着用マナーについて解説します。黒留袖と色留袖でそれぞれ紹介するので、参考にしてみてください。

黒留袖の着用マナー

先に触れた通り、黒留袖は結婚式などで主催者側の親族が着用することが多いです。そのため着用時には、両家で格の差が出ないように配慮することがマナーです。

例えば、「新婦側の母親は黒留袖を着ているのに、新郎側の母親は準礼装を着ている」ということになれば、お互いに気まずい思いをしてしまう可能性があります。黒留袖を着用する際には、両家の間で事前に打ち合わせをしておきましょう。

色留袖の着用マナー

色留袖も準礼装として結婚式の披露宴や式典などに着用できます。結婚式ではゲストとして着用する場合、主催側(新郎新婦の親族)よりも格の高い留袖を着用しないように注意しましょう。

主催側が着用する黒留袖が五つ紋なので、三つ紋や一つ紋を選ぶのが一般的。

また、主役である新郎新婦の衣装にも配慮して、目立ちすぎない上品な装いを心がけることもマナーです。

結婚式での立場別の適した和装

結婚式で和装で出席する場合の礼装を以下にまとめました。結婚式に参列する際の参考にしてみてください。

女性の場合

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新郎新婦との間柄婚歴黒留袖色留袖訪問着振袖
母親既婚
姉妹・従姉妹未婚
既婚
ゲスト未婚
既婚

男性の場合

新郎新婦との間柄婚歴着物の種類
父親既婚・未婚問わない紋付羽織袴
兄弟・従兄弟色紋付
ゲスト色紋付

振袖・留袖・訪問着の違い

振袖は未婚女性、黒留袖は既婚女性、色留袖と訪問着は未婚・既婚を問わず着用できる点が最も大きな違いです。

訪問着は留袖と同じ形状をしていますが、肩から裾にかけて、連なるように絵羽模様が描かれているのが特徴です。

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種類特徴着用シーン着られる人
振袖袖丈を長く仕立てた着物成人式・結婚式など未婚女性のみ
※主に10-20代
黒留袖黒地の着物に、裾のみに絵羽模様があしらわれている結婚式・披露宴
(新郎新婦の母親として)
既婚女性のみ
色留袖黒以外の色をした留袖結婚式・披露宴
(ゲストとして)
未婚・既婚を問わず着用可能
訪問着模様が着物全体に一続きで入っている結婚式など

TPOにあわせた和装の選び方

和装には着物や生地の種類によって「格」があります。式典や食事会などで同席する相手への配慮にもなるので、TPOに応じて使い分けるようにしましょう。

おおまかには、礼装は冠婚葬祭や式典などのフォーマルシーンで着用します。一方、外出着や普段着などは、自分の好みを生かしてカジュアルに楽しむことが可能です。

着物や生地の種類
第一礼装打掛・黒留袖・五つ紋の色留袖・振袖・喪服など
準礼装色留袖・訪問着・色無地など
外出着付け下げ小紋・小紋・無地の紬など
普段着浴衣・紬・ウール・銘仙・木綿など

振袖と留袖のコーディネート

振袖の場合は成人式などのハレの日に着用されることが多く、色合いは明るく鮮やかなものが一般的。帯や半衿も華やかなものを合わせて、10〜20代ならではのコーディネートを楽しみましょう。髪型は、ボリューム感のあるアップスタイルやお団子ヘアがよく合いおすすめです。

留袖はより格式の高いフォーマルシーンで着用されることが多く、落ち着いた色合いや上品な柄が特徴です。そのため、帯や帯締めもシンプルで品のあるものがよく合います。髪型は、シンプルで整ったまとめ髪や簪(かんざし)を使ったアレンジがおすすめです。

まとめ

振袖と留袖の違いについて解説しました。振袖は未婚女性の第一礼装であるのに対し、留袖は既婚女性が着用するのが一般的。

そのため、着用する年齢層や立場に合わせてデザインも異なり、振袖の方が華やかで、留袖は品のある落ち着いた色柄になっています。

振袖と留袖の他にも着物には種類がたくさんあるので、着用シーンに合わせてコーディネートを楽しんでみてください。