振袖は何歳まで着られる?着用シーン別のマナーや注意点を徹底解説

未婚女性の第一礼装である振袖。成人式や結婚式など、ハレの日にぴったりな装いですが、「何歳まで着られるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。本記事では振袖を着用できる年齢の目安や、着用時のマナーについてわかりやすく解説します。

目次

振袖は何歳まで着用できる?

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未婚女性の第一礼装であるとされる「振袖」。まずは、振袖の着用年齢やマナーの基本情報を見てみましょう。

未婚女性であれば、厳密な年齢制限はない

振袖は未婚女性の第一礼装です。未婚女性である限りは、「着用できるのは⚪️歳まで」といった厳密な年齢制限は設けられていません。

一方で既婚女性は「黒留袖」または「五つ紋の色留袖」が第一礼装となり、振袖を着る機会はなくなります。

30代以上の女性が着用することは稀

振袖を着用するのに年齢制限はありません。しかし、世間一般的な考え方や周りからのイメージを考慮して、30代以降になると未婚女性でも着用する方は少ないのが実情です。

また、振袖のデザインは主に20代前半の若い層に向けて作られているものが多く、30代以上の方には少しアンバランスに感じられることもあります。どうしても振袖を着用したい場合は、控えめな色やデザインを選ぶことで、年相応に着用することも可能です。

30代以上の方が礼装を着用する際は、未婚・既婚を問わず着用できる訪問着や色留袖(五つ紋以外)がおすすめです。

未婚女性が振袖を着用する理由

振袖の由来には諸説ありますが、その始まりは江戸時代頃とされています。当時、未婚女性が男性からの求婚に対して、長い袖を振ることで愛情表現をしていたという説があります。

結婚後にはこのような愛情表現の必要がなくなるため、袖を短くしていました。

離婚歴があっても着用するのは問題ない

離婚歴があるから振袖を着られない、といったルールも特にありません。

ただし、結婚歴を知っている人が多い場所では、周囲に気を使わせてしまったり、自分自身が居心地の悪さを感じたりする可能性があります。振袖にこだわりがなければ、留袖や訪問着などの他の和装スタイルを選ぶのも一つです。

振袖の種類と適した着用シーン

一般的に「振袖」というと、成人式や結婚式中などで着用する「中振袖」を指すことが多いですが、振袖は袖の長さによって「大振袖」「中振袖」「小振袖」の3種類に分けられます。

袖が長いほど格が高いとされ、「大振袖>中振袖>小振袖」の順で格付けされるのが特徴です。

振袖の種類袖丈の長さ着用シーン
大振袖115cm結婚式(花嫁側)
中振袖100〜107cm成人式や結婚式(ゲスト側)
小振袖75cmパーティやお出かけ

大振袖

袖丈が三尺以上(115cm程度)以上ある振袖のことを「大振袖」といいます。振袖の中で最も袖が長く、格式の高い振袖です。主に婚礼衣装として着用されます。

中振袖

袖丈がニ尺六寸(100〜107cm程度)ある振袖は「中振袖」に分類されます。おおよそ膝ぐらいまでの長さがあり、成人式や結婚式のゲストとして参加するときに着用されることが多いです。

小振袖

小振袖は二尺(75cm程度)あり、カジュアルに着られる振袖です。袴と合わせて卒業式に着たり、パーティなどちょっとしたお出かけに着用したりします。

振袖を着用する際の共通のマナー

振袖を着る場合は、年齢に関わらず基本のマナーを押さえておきましょう。振袖着用時の共通のマナーは、以下の通りです。

振袖を着る際のマナー
  • TPOにあった色や柄を選ぶ
  • 帯結びやヘアスタイルもTPOにあわせる
  • 年齢にあった色や柄を選ぶ

TPOにあった色や柄を選ぶ

振袖も普段着用している洋服と同様に、TPOにあった色や柄を選ぶことが大切です。例えば、成人式では自分が主役であり、どのような色・デザインの振袖を着ても構いません。

一方で、結婚式のゲストとして振袖を着用する際は、新郎新婦よりも目立つような装いは避けるべきです。少し落ち着いた色・柄を選ぶなど、TPOに合わせることを意識しましょう。

帯結びやヘアスタイルもTPOにあわせる

振袖のデザインだけでなく、帯結びやヘアスタイルもTPOに合わせることが大切です。

成人式で振袖を着る際には、華やかにアレンジした帯結びやヘアスタイルでも問題ありません。自身の振袖のデザインや柄にあわせて、好きなスタイルを楽しみましょう。

一方で、結婚式に参列者側で振袖を着用する場合、帯結びは「お太鼓結び」や「文庫結び」などシンプルな結び方で、帯のデザインは華美ではないものを選ぶようにしましょう。ヘアスタイルや髪飾りも派手なものはNGです。

年齢にあった色や柄を選ぶ

年齢に応じた色柄を選ぶことで、より自然で品のある印象になります。

例えば10代〜20代前半の方であれば鮮やかな色や大胆な柄でフレッシュに、20代後半以降で着用する場合は落ち着いた色合いや繊細な柄を選ぶことで上品に着こなせます。

着用シーンごとのマナー

以下では、着用シーンごとのマナーについて解説します。

着用シーンごとのマナー
  • 卒業式
  • 成人式
  • 結婚式(花嫁)
  • 結婚式(参列者)

それぞれ解説していきます。

卒業式

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卒業式では、小振袖と袴を組み合わせて着用することが多いです。成人式で着用した中振袖を着ても問題ありません。また、既婚者であっても、ハレの日の衣装として着用することは問題ありません。

成人式

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成人式では中振袖を着用することが一般的です。こちらも既婚者であっても、人生の節目を祝うハレの日の衣装として着用して問題ありません。華やかな色や柄を選び、人生で一度きりの成人式を特別な姿で迎えましょう。

結婚式(花嫁)

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花嫁の場合、白無垢、打掛、引き振袖の3種類から選びます。成人式の振袖が中振袖であるのに対し、結婚式ではもっとも格の高い大振袖を着用することが多いのが特徴。披露宴のお色直しとして振袖を着用するのもおすすめです。

結婚式(参列者)

結婚式のゲストとして着用する際は、上記3つのケースとは異なり細かいマナーに考慮する必要があります。詳しくは次の章で解説するので、参考にしてみてください。

結婚式で振袖を着用する際のマナー

結婚式のゲストとして振袖を着用する場合、自分自身のハレの日ではなく、主役はあくまで花嫁です。そのため、着用時のマナーにはより注意する必要があります。

結婚式で振袖を着用する際のマナー
  • 花嫁の衣装とかぶせない
  • 振袖のランクを花嫁よりも下げる
  • アクセサリーや髪型は控えめに
  • 帯の結び方はシンプルにする

花嫁の衣装とかぶせない

和装・洋装にかかわらず、結婚式では花嫁の衣装と被らないようにする配慮が必要となります。招待状を受け取ったら、それとなく尋ねてみるのも1つです。

花嫁がサプライズにしていて当日の衣装がわからない場合などは、小物類や帯を控えめなものにしたり、花嫁衣装としてあまり使用されないような落ち着いた色を選んだりするとよいでしょう。

振袖のランクを花嫁よりも下げる

結婚式では、花嫁の衣装よりも格下の振袖を着用することがマナー。ゲストとして参列する場合は、中振袖を選ぶのが無難です。

アクセサリーや髪型は控えめに

結婚式の主役はあくまで新郎新婦。アクセサリーや髪型も派手になりすぎないよう注意しましょう。一方で、一切着飾らないことも失礼にあたるので、品のよいアクセサリーや髪飾りなどを使ってお祝いの気持ちを示すこともポイントです。

帯の結び方はシンプルにする

帯は着物の格に合わせて袋帯を選びます。結婚式での帯結びは、お太鼓結びや文庫結びなど、シンプルで落ち着いたものが好ましいです。

振袖を着用しない場合は訪問着がおすすめ

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振袖以外の和装スタイルにするなら訪問着がおすすめ。着用マナーは振袖と同様、TPOに応じて配慮しましょう。

訪問着は振袖と同じくフォーマルな場面で着用されますが、振袖が未婚女性の正装であるのに対し、訪問着は未婚・既婚を問わず着用できる点が異なります。そのため、和装スタイルに悩んだ場合は訪問着を選べば間違いありません。

また、和服の準備が大変だと感じる場合には、シーンによってはドレスを選ぶこともできます。

まとめ

振袖には「何歳まで着用できる」といった年齢制限は特にありません。しかし一方で、シーンや立場に応じたさまざまなマナーがあります。

TPOや年齢に合わせた着こなし、結婚式での配慮など、細やかな気遣いが必要です。これらのマナーを守りつつ、ぜひお気に入りの和装スタイルを見つけてみてください。