振袖の袖を切ると訪問着や留袖になる?リメイク可能な条件や料金を解説

「振袖の袖を切ると訪問着にリメイクできる?」と考える方もいることでしょう。成人式やハレの日に着用した大切な振袖。年齢を重ねたり、結婚したりした後も活用したいと考える方も少なくありません。

本記事では、振袖を訪問着や留袖などにリメイクできるのか、条件や仕立て直しにかかる費用などを詳しく解説します。

目次

振袖の袖を切れば既婚女性でも着用できる?

振袖の袖を切ることで、既婚女性でも着用できる「訪問着」や「留袖」などにリメイクすることは可能です。しかし、振袖は華やかな色やデザインのものが主流なため、リメイクしても派手すぎてしまうケースが多くなっています。

少し前までの世代では、振袖を「いずれリメイクして訪問着にする」という前提で購入することも多くありました。

そのためリメイクできるデザインの振袖が出回っていましたが、近年では成人式用の華やかな振袖が主流となり、仕立て直しに向いている振袖はあまり見かけません。

こういった背景から、どうしてもリメイクにこだわりたい場合を除いて、振袖はそのまま保管し、姉妹や子どもに引き継ぐことをおすすめします。

振袖の袖を切ると、どんな着物にリメイクできる?

振袖の袖を切ってリメイクする場合、一般的には訪問着への仕立て直しが主流です。

まれに小紋や色無地にしたり、黒引き振袖を留袖にしたりするケースもありますが、着物の種類ごとに見た目の特徴や定義があるため、単に袖を切れば使えるというわけではありません。

着物の種類見た目の特徴
振袖袖が長く、華やかな柄が特徴
留袖上半身に柄がなく、裾の部分のみに絵羽模様がある
訪問着肩から胸や袖にかけての絵羽模様が特徴
小紋小さい柄が全体に散りばめられている
色無地無地の着物

留袖

出典:PIXTA

留袖とは上部に柄がない着物のため、振袖と柄の作りが根本的に違います。以前は黒引き振袖を黒留袖にリメイクしていた時代もありましたが、現代で主流の華やかなデザインのものは留袖としては使えません。

訪問着

出典:PIXTA

結婚式のお呼ばれやパーティシーンなど、フォーマルに使える訪問着。振袖のリメイクとして、もっともメジャーな方法です。

訪問着の柄は、肩から胸や袖にかけて1つの絵のように一巻きに描かれているのが特徴。途切れていない絵羽模様が入るものであれば、訪問着にリメイクできる場合があります。

小紋

出典:PIXTA

小さい柄が散りばめられた総柄振袖の場合、小紋として使えることもあります。小紋はカジュアルな普段使いとして着用しやすい着物です。

色無地

出典:photoAC

無地の振袖であれば袖を切って色無地として使える場合もあります。ただし柄のない振袖は現代ではほとんど見かけず、珍しいケースです。

訪問着にリメイク可能な振袖の特徴

振袖を訪問着にリメイクする際、最も重要なのは柄です。色は染め替えできても柄は変えられないため、もともとの振袖の柄が訪問着に適しているかどうかが鍵となります。

ポイントは以下の通り。

  • 袖の柄が途切れないデザイン
  • 柄と柄の間を広く取った「飛び柄」
  • 色・柄が控えめなデザイン

袖の柄が途切れないデザイン

袖を切っても柄が途切れず、自然に見えるデザインが理想的です。袖の柄が中途半端に途切れてしまう場合、出来上がりが不自然になってしまいリメイクには向いていません。

柄と柄の間を広く取った「飛び柄」

柄と柄の間を広く取った「飛び柄」の場合、柄をさけて袖を切ることができるためリメイクしやすいのが特徴。特に小さい柄が上品に入っているものであれば、小紋としても活用しやすいデザインです。

色・柄が控えめなデザイン

控えめなデザインの振袖なら、結婚後も年相応に上品に着こなせます。色は染め替えもできますが、元々控えめな色合いのものの方がリメイクしやすいでしょう。

訪問着へのリメイクが向かない振袖の特徴

訪問着へのリメイクが向かない振袖の特徴は以下の通りです。

  • 振袖全体の柄が大きすぎる
  • 振袖全体の柄に流れがある
  • 色・柄が派手

振袖全体の柄が大きすぎる

大きな柄は袖を切ると不自然になりやすく、全体のバランスが崩れてしまいます。訪問着は品のある控えめな印象が求められるため、大柄の振袖は不向きです。

振袖全体の柄に流れがある

袖を切ることで柄の流れが途切れてしまい、デザインの美しさが損なわれる可能性が高くなります。また、絵羽模様が特徴の訪問着にはリメイクできません。

色・柄が派手

訪問着は既婚女性が着用する準礼装であり、控えめで上品な印象が求められます。派手な色や柄の振袖は、訪問着としてちぐはぐな印象を与えてしまう可能性があるため不向きです。

振袖の袖を切って仕立て直す場合の料金

あくまで目安となりますが、振袖の袖を切ってリメイクする際の料金目安は以下の通りです。

振袖の袖丈を短くする料金1万円〜
長襦袢の袖丈を短くする料金1万円〜

実際の料金は、着物の状態や仕立て直しの複雑さによって変動します。また、染め直しやシミ抜きなどの追加作業が必要な場合は、さらに追加費用がかかることもあります。

袖を切らずに、詰めることはできるの?

「もしかしたら振袖に戻したくなるかもしれないので、切らずに詰めたい」と考える方もいるかもしれません。袖を切らずに詰めることは技術的には可能ですが、おすすめはできません。理由は以下の通りです。

袖を切るのをおすすめできない理由
  • 袖がダボつきやすく、重くなってしまう
  • 袖の大部分の生地を縫い込む必要があり、費用と時間がかかる
  • 袖を元に戻した場合に色やけや形が崩れることがある

これらのデメリットを踏まえると、袖を切らずに詰める方法はあまり現実的とはいえないでしょう。

振袖の袖丈直しは自分でできる?

よほど専門的な技術を持っている場合を除いて、振袖の袖丈直しを自分で行うのは難しいです。振袖のリメイク自体があまりおすすめできませんが、どうしても行う場合は必ずプロに任せるようにしましょう。

リメイクしない場合は「ママ振り」に取っておこう

振袖をリメイクせずに保管しておくのも一つの選択肢です。最近では、母親の振袖を着て成人式に出席する「ママ振り」も多く見られます。

「せっかくの振袖を無駄にしたくない」という理由であれば、将来、自分の子どもが着られるように取っておくこともぜひ検討してみてください。

まとめ

振袖の袖を切ってリメイクすることは技術的には可能ですが、様々な理由からおすすめできません。振袖は特別な思い出の品であり、そのまま保管して次の世代に引き継ぐのが最も良い方法と言えるでしょう。

どうしてもリメイクを検討する場合は、必ず専門家に相談し、元の振袖のデザインや柄が適しているかをよく確認してください。また、リメイク後の着用機会や、費用対効果についてもしっかり考慮することが大切です。

振袖は一生に一度の思い出の品。大切に保管して、いつか娘さんや姪っ子さんが着る日が来るかもしれません。そんな素敵な未来を想像しながら、振袖との付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。