成人式に向けて振袖の着付けをどうするのか気になっている方も多いでしょう。本記事では、着付けに必要な道具や順番、コツをはじめ、プロの着付けサービスの相場や注意点、事前に知っておきたいことを紹介しています。
ぜひ参考にして晴れやかな成人式当日を迎えてみてください。
初心者が自分で振袖を着付けるのが難しい理由
振袖の着付けは、着物の中でもとくに難易度が高いとされています。多くの手順において正確さが求められるため、初心者が一人で完璧に着付けるのは困難です。
そのため、振袖の着付けはプロの着付け師に任せるのがおすすめです。プロの着付け師であれば、短時間で美しく着付ける技術と経験があるため、重要な成人式での失敗を避けることができます。
振袖の基本である「変わり結び」の結び方が複雑
振袖の帯結びには華やかな「変わり結び」が基本です。通常の着物の帯結びである「お太鼓結び」とは違い、変わり結びは蝶結びや花結び、立て矢結びなどと、バリエーションが多いのが特徴。
その結び方が非常に複雑で習得が難しいため、初心者には大きなハードルとなります。また、結び方を間違えると見た目が悪くなるだけでなく、着崩れの原因にもなるので注意が必要です。
着崩れしないように着付けるのが難しい
成人式では長時間振袖を着用するため、着崩れしないように着付ける必要があります。
締めるところはしっかりと締める一方で、着ている本人が苦しくないようにする力加減が重要。この絶妙な力加減は着付けの腕前が問われる部分といえるでしょう。
振袖を着付ける際に必要なものリスト
振袖を着付ける際に必要なアイテムは以下になります。
ジャンル | 必要なアイテム |
---|---|
着物類 | ・振袖 ・帯 ・帯締め ・帯揚げ ・伊達衿(だてえり) |
肌着類 | ・肌襦袢(はだじゅばん) ・長襦袢(ながじゅばん) ・半衿(はんえり) ・衿芯(えりしん) ・補正パッド ・裾よけ ・足袋 ・タオル |
小物類 | ・伊達締め(だてじめ) ・三重仮ひも ・腰ひも ・前版 ・後板 ・帯枕 |
振袖を着付けるためには、振袖の下に着る長襦袢や帯の形を整えるための帯板など、さまざまなものが必要です。これらは着物専門店やインターネットで購入、レンタルすることができます。不足のないようしっかり準備しておきましょう。
あると便利なアイテム
振袖を着付ける際に以下のアイテムも準備しておくと便利です。
- コーリンベルト
- マジックベルト
コーリンベルトは着物や襦袢をずれないようにウエスト部分を固定するもの。マジックベルトは、マジックテープで簡単に締められるもので、着崩れを防ぐ便利なアイテムとしておすすめです。
また、着崩れを防ぐこともできますが、一番のメリットは振袖を着ている時に楽なところです。いずれのベルトも伸縮性があり、普通の紐と違って締め付けを感じないため、着心地が良くなります。
なお、振袖をレンタルする場合は、これらのアイテムがセットに含まれている場合もあるので、レンタルプランの内容を確認しておきましょう。
着物姿をより美しくする補正アイテム
補正アイテムは着物姿をきれいに見せるため、振袖を着付けるときに必要なアイテムです。着物は身体のラインが出にくい作りになっているため、そのまま着るとご自身の身丈にあっていなかったり、シワができてきれいに着こなせなかったりすることがあります。
補正アイテムは、身体のラインを目立たなくする効果が期待でき、主にヒップやウエスト、バストの部分を補正していきます。
補正アイテムには身近にあるタオルを利用したり、身体の部位に合わせた専用のパットを利用したりするのが一般的です。自分のスタイルにあった方法を選ぶようにしましょう。
振袖の着付けの料金相場
振袖の着付けの料金相場は以下になります。
着付け場所 | 料金相場 |
---|---|
美容室 | 約1万5,000円〜3万円 |
ホテル | 約2万5,000円〜4万円 |
出張着付け | 約1万5,000円〜2万円 |
振袖専門店 | セット料金に含まれているケースが多い |
振袖の着付け料金は地域やサービス内容によって異なりますが、一般的に着付けのみの料金は8,000円〜1万円程度。ヘアセットやメイクを含む場合は2万円〜3万円程度の料金がかかります。
また、美容院やホテル、出張着付け、専用の着付け会場など、着付けのサービスを受けられる場所も多岐にわたります。
振袖の着付け料金を安く抑えるコツ
セットプランを利用する
ヘアメイクや着付けを個別に手配するよりも、セットプランを利用することで、全体の費用を抑えることができます。多くの美容院や着付けサービス業者がセットプランを提供しており、これを利用することで時間と費用の両方を節約することが可能です。
ヘアメイクを自分でやる
SNSやYouTubeなどを参考にして、自分でヘアメイクを行うことで、ヘアメイクの費用を節約することができます。また、家族や友人に手伝ってもらう場合は、事前に練習しておくことで、自信を持って当日を迎えることができるでしょう。
割引・キャンペーンを活用する
多くの着付けサービス業者は、1月の成人式シーズンに合わせて割引やキャンペーンを実施しています。これらの割引やキャンペーンを活用することで、費用をさらに抑えることが可能。早めに情報を収集し、適切なタイミングで予約することが重要です。
振袖の着付けを予約する際の注意点
早めに予約する
成人式のシーズンには、多くの人が着付けを希望するため、予約が非常に混雑します。可能ならば、1年前から計画を立てて予約を進めておくのがおすすめ。
ギリギリの予約だと、空きがなくなっていることが多く、早朝料金がかかる場合もあります。なるべく早めに予約しておくようにしましょう。早朝料金がかかる場合の目安は以下になります。
時間帯 | 料金相場 |
---|---|
〜5:00 | 約1万円 |
5:00〜6:00 | 約6,000円 |
6:00〜7:00 | 約3,000円 |
自宅や会場から近い場所で予約する
振袖を着て長距離を移動するのは大変です。とくに冬の1月には雪が降ることもあり、移動がさらに困難になる可能性があります。
そのため、なるべく自宅や式典会場から近い場所で着付けを予約するのが理想的。また、移動中の着崩れを防ぐためにも、移動距離を最小限に抑える工夫をしておきましょう。
振袖の着付けにかかる時間
振袖の着付けには2〜3時間を見ておくとよいでしょう。着付けそのものに1時間程度、ヘアメイクに1時間程度、そして予備時間として1時間程度を見ておくのがおすすめです。
余裕を持って行動することで、万が一のトラブルにも焦らず、美しい仕上がりを目指すことができます。
振袖を着付ける際の事前準備や注意点
着付けにあたっての事前準備
振袖の着付けにあたっての事前準備として、以下は抑えておきましょう。
- 振袖や帯をハンガーに掛けておく
- 長襦袢に半衿を縫い付けておく
- 足袋と帯揚げにアイロンをかけておく
- 小物を準備しておく
しっかりと事前準備をしておくことで、当日の着付けがスムーズになります。まずは着物や帯をハンガーに掛けておくようにしましょう。
また、レンタルの場合、すでに長襦袢に半衿が縫い付けてあることが多いですが、自分で用意する場合は事前に縫い付けておくようにしてください。
そのほか、シワがあると見た目が悪くなるため、足袋と帯揚げにアイロンをかけておいたり、小物を使う順番に並べておいたりすると、着付け時に時間と心の余裕が生まれます。
着付け当日の注意点
振袖の着付け当日の注意点として、以下は抑えておきましょう。
- 着付けの前に何か食べておく
- ヘアメイクは振袖を着る前に終わらせておく
着付け後にご飯を食べると、帯が締め付けて苦しくなるため、軽く食事を済ませておきましょう。
また、着付け後にヘアメイクをすると、振袖がよれたり汚れたりする可能性があるため、先にヘアメイクを済ませましょう。前開きのトップスなど脱ぎ着しやすい服装にしておくと、スムーズに着替えができます。
振袖を自分で着付ける場合の順番や流れ
振袖を自分で着付ける場合の手順は以下になります。
1. 和装下着を着る
洋装用の下着は振袖のシルエットに影響を与えるため、和装下着を選びましょう。吸水性がよく、通気性に優れた素材がおすすめです。和装下着や肌襦袢を着用することで汗を吸収し、着物が肌に直接触れるのを防ぐほか、振袖のラインを美しく保つ役割も果たします。
2. 足袋を履く
足袋は着付けの最初の段階で履いておくと、後からしゃがんで履く際の着崩れや振袖が汚れる心配も少なくなります。袋は足にしっかりとフィットするサイズを選び、清潔な状態にしておくことが大切です。
3. 補正をする
ウエストパットやヒップパット、もしくはタオルを使用することで、お腹に紐が食い込むのを防ぎ、着崩れを防ぐ役割を果たしてくれます。補正をすることで、振袖のラインが美しくなり、全体のシルエットを均一に見せることが可能です。
4. 長襦袢を着用する
振袖に合わせた礼装用の長襦袢を着用してください。長襦袢の衿をしっかりと整え、シワができないように注意しましょう。また、衿芯を入れることで衿元がしっかりと立ち、きれいに見せることができます。
5. 振袖を着用する
袖を通したら、振袖の衿を持って羽織り直し、背中に中心を合わせます。幅の広い腰紐を使用し、腰ひもと胸ひもの結び目をずらすと着崩れを防ぎ、美しいシルエットを保つことができます。袖のバランスを整え、全体のラインを確認しながら丁寧に着付けましょう。
6. 帯を結ぶ
複雑な飾り結びをする際は、鏡を見ながら慎重に結びましょう。帯板や帯枕を使用して形を整え、しっかりと固定してください。帯の結び方が美しく仕上がることで、振袖全体の印象が大きく変わります。結び目の位置や形を調整しながら丁寧に仕上げましょう。
振袖をきれいに見せる着付けのコツ
振袖を着る際に、きれいに見せる着付けのコツは以下になります。
- 体の凹凸の差を減らす
- 衿合わせの角度で首元をすっきり見せる
- 帯は前下がり後ろ上がりで足長効果を目指す
- 裾すぼまり下半身を細く見せる
着物は体の凹凸が少ない方が美しく見えます。タオルや綿花、ガーゼなどを使用してウエストとバスト・ヒップの差をなくし、体のラインを筒状に補正するのがポイントです。
また首元を細く長く見せるために、長襦袢の衿合わせの角度を少し鋭角にすることで、首元がすっきりと見えます。後ろの衿も少し多めに開けてうなじを見せると、後ろ姿も美しく見えます。
さらに帯を横から見て前下がりに着付けることで、お尻の位置が高く見え、足が長く見せられる効果があります。なお、万が一着崩れて帯が下がってきてしまった場合は、帯の下にタオルを挟んで解消してみましょう。
最後に腰から下にかけてのラインが徐々に細くなるように、裾をすぼめて着付ければ、全体的にスラっとした印象になり、細身に見せることができます。
振袖を自分で着付けられるようになるための方法
振袖を自分で着付けられるようになるためには、YouTubeなどの動画を参考にすることも有効です。具体的な手順を視覚的に確認することで、理解しやすくなります。
しかし、本格的に習得したい方には、着付けのスクールに通うことをおすすめします。プロの指導のもとで練習を重ねられるほか、細かい質問にも答えてもらえるため、自己流では得られない知識やコツを学ぶことができるでしょう。
まとめ
振袖の着付けは難易度が高く、とくに初心者の自力での着付けは、仕上がりが美しく見えなかったり、着崩れを起こしてしまったりするリスクがあります。
プロの着付けサービスは着付けのみで8,000円から1万円程度、ヘアセット・メイクを含むと2万から3万円程度かかりますが、セットプランやキャンペーンを活用したり、自分でヘアメイクをしたりして費用を抑えることも可能です。
早めに予約を行い、自宅や会場に近い場所を選ぶのがおすすめ。スムーズに成人式当日を迎えられるよう、しっかり事前準備をしておきましょう。